遊びを学ぶ!プレーパークせたがや

はじめての屋根登り

はらっぱには、楽しくて、子どもの挑戦したい気持ちを掻き立てる道具や環境がいっぱいです。

その日は、4人の年長の女の子達が登り易い木に列を作り、ひとりずつリーダーハウスの屋根に登ろうとしていました。
すいすい登る子もいれば、初めての子は木の途中で行き詰まり、中々デッキの上まで登れません。

自分だけ上まで登れないのが悔しいのか、Aちゃんは涙目で木から降りて来ました。近くで見守っていたお母さんには背を向けて1人でかまどへ向かい、肩で息をしています。
そんなAちゃんの様子を見て、ママは「…うちの子すぐあきらめちゃうところがあるんだよね。」と淋しそう。

2回目、Aちゃんはしばらくしてまた登りはじめました。今回は途中で「ママ押して!」と助けを求めます。ママが励ましつつも手は出さないでいると、Aちゃんは同じ場所で先に進めず、泣きながらまた木から降りてきました。

3回目、またしても小休止の後、自分から再チャレンジ!今までで一番良い感じ。別に登れなくてもいい…でも自分から何かをやろうとしてる子はやっぱり応援したくなる。集中しているAちゃんに余計な声がけはせず、ママも世話人もたまたま近くにいたプレーワーカーもAちゃんに熱い視線を向けていました。あと足を上の枝に乗せられてお尻が浮いたら、デッキに手が届く!頑張れ!と思っていたところに、上から降りて来る子がいて、Aちゃんは木にしがみついたまましばし待機…していたら、力尽きて木から降りました。今回はあと少しだったのがより悔しくて、ママに抱きついて泣いています。

4回目、Aちゃん、再び木に登ります。Aちゃん、またあの難所で、手足を木に巻き付けて踏み止まりつつも、右足を抜いて上の枝に乗せようと… 一生懸命です。手足の疲れもある中で力を入れているので、身体がプルプル震えています。とても集中しているAちゃんの周りの空気が張り詰めます。
最後の力を振り絞って、右足をなんとか枝の上に乗せ、その拍子にお尻が浮いて、デッキに手が届いた!やった!ママはもちろん、横で見ていた私までも目頭があつくなりました。
プレーワーカーも「あきらめなかったことがすごい。」と呟きました。

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デッキに登って嬉しいそうに周りを見渡すAちゃん。「すごいね。やったね。そこから何が見える?」とママ。
「高〜い。色々見える〜。」「あれ?ママ、泣いてるの?」不思議そうにママを見下ろすAちゃん。「なんで泣いてるの?鼻水出てるよ。」と無邪気な笑顔を見せてくれました。

「うちの子は諦めが早いと思ってたけど、そうじゃなかったんだなぁ。子どもがつまずいた時に私が『もうやらないの?』とか余計な言葉がけをしていたのが良くなかったのかも。見守るって大事なんだね。すごく勉強になった…」と感慨深そうなママ。

はらっぱは、子どもだけでなく大人にも沢山の気づきや何かを感じるきっかけを与えてくれる場所なんだな、とつくづく。こんな素敵な場面に立ち会えて幸せな1日でした。

世話人しみず

投稿日は: 2017年5月24日 4:11 PM