遊びを学ぶ!プレーパークせたがや

連載―withコロナのわたしたち 第3回

『日常非日常』

 プレーパークは子どもが一般の公園等でできないチャレンジングな遊びが出来る場所なので、別名「冒険あそび場」と呼ばれています。「駒沢はらっぱ」もその一つです。

子どもにとって好奇心や欲求に従い、様々な事にチャレンジ・冒険する事は特別な事では無く成長してゆく上で不可欠な体験です。特に屋外で光や風、匂い等を感じながら体を使って行う外あそびは、日常的にその環境があってこそ、心と体の成長に大きく寄与します。

 ヨーロッパの学者が行った実証研究では、非日常のイベントとして月に1度キャンプに行く程度の体験では、残念ながら情緒の安定に寄与するこの効果はほとんど見られなかった、という結果が出ています。自分の意志で自由で創造的な外遊びを「日常的」にする事が、生きる力を育むのです。ただ残念ながら、現在多くの都市ではハード、ソフト共に、
この環境にはありません。

 「駒沢はらっぱプレーパーク」が30年以上前から「住宅街」に存在している理由がここにあります。年間約240日開園し続け、毎年延べ2万人以上の利用者がいます。

 整地の変更が容易で転倒・落下時の安全性に優れた土の地面、設計自由度が高く変更が容易な木製の遊具等に加えて、滅多に「ダメ」と言わない大人の存在など、大人には昭和30年代にタイムスリップしたような非日常的な場所に見えても、ここで遊ぶ子ども達にとっては好きな事ができる現代の日常的な居場所なのです。

 コロナ禍が吹き荒れたこの1年。それまでの私たち大人の日常とは大きく変わりました。
「マスクをしなければいけません。」「5人以上で会合してはいけません」「握手はさけましょう」「旅行してはいけません」「外でお酒を飲んではいけません。」「仕事は家でしましょう」「手洗い・アルコール消毒、うがいをしましょう。」・・・・・。まだありましたっけ?
<感染防止の為>という名目での非日常です。大きなストレスを伴います。

 でもちょっと待ってください。名目・項目は違っていても「○○の為にあれをしなさい、これをしてはいけません」と日常の中でかなりの頻度で私たちは指示していませんか?
そう、子どもに「塾にいって勉強しなさい」「水泳教室に行きなさい」「汚いからやめなさい」「危ないからしないで」挙句は「あの子と遊んではいけません」まで。善かれと思っていても、実は過干渉になってはいませんか?<立派な大人になる為>という名目で。

 私たち大人が非日常に追いやられている今だからこそ、子どもの立場に立って気が付ける日常の反省があるのではないでしょうか?

「子どもにもっと自由な時間を。自由な主張を。豊な子ども時代を。」

あなたのお家は大丈夫ですか?

              2021年7月

駒沢はらっぱプレーパーク世話人 三輪英児


連載第3回目は、長らく駒沢はらっぱプレーパーク世話人として地域の子どもたちを見守り続けてきた三輪さんに綴っていただきました。

コロナ禍によって新たな制約が増えたことで、大人、親たちが制約の多い子どもの環境に対して問題意識を持ちはじめたり、子どもの気持ちや考えや変化により敏感になろうとしたり、子どもへの向き合い方を考えるきっかけになっている、という三輪さんの視点。もともと子どもたちはコロナ禍以前から様々な制約を大人、親から与えられており、子どもが自分を解放する場としてのプレーパークの役割があったのだ、という指摘は現役子育て世代として私にも身に覚えがあり、深く刺さりました。

非常だからこそ日常について見直せるチャンスですね。 (世話人しみず)

投稿日は: 2021年7月19日 5:55 PM